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名古屋家庭裁判所 平成5年(家)1482号・平6年(家)1769号

主文

1  相手方万理の本件申立てを却下する。

2  被相続人の遺産を次のとおり分割する。

(1)  別紙目録記載番号9ないし12、14の遺産は、各当事者の準共有取得(持分は平等)とする。

(2)  同目録記載番号13の遺産は、各当事者の共有取得(持分は平等)とする。

(3)  同目録記載番号1ないし3の遺産は、相手方万理の取得とする。

(4)  同目録記載番号4及び5の遺産並びに同目録記載番号7の(2)記載の遺産は、申立人桃子の取得とする。

(5)  同目録記載番号6の(1)、(2)の遺産、同目録記載番号7の(1)、(3)ないし(9)の遺産及び同目録記載番号8の(1)ないし(11)の遺産は、相手方亨の取得とする。

3  遺産取得の代償金として、

(1)  相手方万理は、相手方八重子及び相手方好江に対して各金2077万0234円、相手方未来に対して金968万0298円を本審判確定の日から3年以内に支払え。

(2)  申立人桃子は相手方久司に対し、金22万4766円を支払え。

(3)  相手方亨は、相手方久司に対して金2054万5468円、相手方未来に対して金1108万9936円を支払え。

4  本件手続費用は、各自の負担とする。

理由

関係各証拠(弁論の全趣旨を含む)に基づく当裁判所の事実認定及び法的判断は、以下のとおりである。

1  相続の開始、相続人及び法定相続分

被相続人の父である有島一郎(昭和36年9月5日死亡)と被相続人の母有島み与(昭和57年2月28日死亡)との間の四女である被相続人は、平成3年12月20日に死亡し、相続が開始した。その相続人は、上記一郎と同み与との間の長女である秋本ユウ子、同二女である相手方八重子、同三女である申立人桃子、同六女である相手方好江、同七女である相手方万理、同八女である相手方未来及び同長男である相手方亨の7名であった。そして、上記ユウ子は、本件手続中の平成5年8月27日に死亡し、相手方久司は、上記ユウ子の遺贈に基つき、同人の被相続人の遺産に対する相続分を包括的に譲り受け、本件手続を受継した。法定相続分は、各自7分の1である。

2  遺産の一部分割協議の成否

相手方万理は、被相続人の葬儀当日、相続人全員が口頭で本件遺産の一部分割に関する合意をした旨主張するが、相手方万理が平成4年3月10日に当庁へ提出した回答書には、それまで本件遺産について分割協議が成立したことはない旨の記載があるばかりでなく、ほかに本件遺産の分割協議が確定的に成立したことを認めるに足りる証拠はない。

3  本件遺産の内容

被相続人の相続開始当時の遺産は、別紙目録記載のとおりである。なお、相続開始後に生じた果実(預貯金の利子及び不動産の賃料等)は、相続人らが直接相続によって取得したものではないから、別途共有物分割の対象にするのが相当である。

4  寄与分

相手方万理は、前記目録記載番号1ないし3の各不動産を被相続人の生前から管理をしてきたことによって本件遺産維持に寄与した旨主張する。そして、相手方万理は、被相続人の生前から同目録記載番号3の建物の半分及びその敷地部分に相当する同目録記載番号1の土地の一部並びに隣接する同目録記載番号2の土地を管理してきたことは認められるが、この建物とその敷地部分の管理は賃借人の立場としてなされていたにすぎず、また、隣接地の管理も同土地で野菜を作って自分の家族に供する形態でなされていたものであり、もっぱら被相続人のために無償で労力あるいは財産を提供した事実は認められないので、「特別の寄与」をしたとはいいがたい。

5  特別受益

特別受益者に該当する当事者のいることを認める証拠はない。

6  本件遺産の評価額

前記のとおり、本件遺産について寄与分及び特別受益を考慮する必要はないので、本件遺産の相続時の評価額を考慮する必要はない。また、後述する理由により、法定相続分に応じて当事者全員の準共有又は共有取得の対象とする有価証券、金及び電話加入権については、分割時の評価額も考慮する必要はない。そこで、本件遺産中、不動産について分割時の評価額を検討すると、次のとおりとなる。

(1)  前記目録記載番号1の土地

2871万4000円

(2)  同目録記載番号2の土地

4222万7000円

(3)  同目録記載番号3の建物

105万0000円

(4)  同目録記載番号4の土地

1370万0000円

(5)  同目録記載番号5の建物

329万5000円

上記各評価額合計は、8898万6000円となる。そして、「預け金」及び預貯金については、分割時に増減があれば、法定果実の発生又は遺産の先取りの問題として処理をすべきものであるから、ここでは、前記目録記載の相続時の各金額で評価すると、その金額合計は、5640万5642円(「預け金」合計107万1048円+預金合計4155万5222円+貯金合計1377万9372円)となる。

したがって、同目録記載番号1ないし8の不動産、「預け金」及び預貯金の評価額合計は1億4539万1642円となり、これに対する当事者の具体的取得分は、各自7分の1に相当する2077万0234円(1円未満は切捨て)となる。

6  分割方法

(1)  前記目録記載番号9以下の株式等については,これらの取得を希望する者がいないうえ、価格変動も頻繁で適正な分配がむずかしい遺産が多く、また、公社債にいたっては、短期間で銘柄の変動(乗換え)があって特定上問題が生じ、換価分割の対象にすることもむずかしいので、結局のところ、各当事者の準共有(同目録記載番号13の遺産は共有)取得とし、その持分は平等とする。

(2)  同目録記載番号1ないし3の不動産(評価額合計7199万1000円)については、各当事者の意向等を考慮し、相手方万理の取得とする。したがって、相手方万理は、上記7199万1000円から同人の前記具体的取得分2077万0234円を控除した残額5122万0766円の超過取得額について、代償金による清算をすべきことになる。

(3)  同目録記載番号4及び5の不動産(評価額合計1699万5000円)については、各当事者の意向等を考慮し、申立人桃子の取得とする。しかし、申立人桃子は更に377万5234円の具体的取得分を有するので、これに相当する遺産として、同目録記載番号7の(2)の定期預金(預金額400万円)も同人の取得とする。したがって、申立人桃子は、超過取得額22万4766円について、代償金による清算をすべきことになる。

(4)  同目録記載番号6の各「預け金」(金額合計107万1048円)、同目録記載番号7の各預金中、申立人桃子の取得した上記預金を除くその余の各預金(預金額合計3755万5222円)及び同目録記載番号8の各貯金(貯金額合計1377万9372円)については、その通帳等を管理し、既に貯金の一部を引き出して先取りをしている相手方亨の取得とするのが相当である。したがって、相手方亨は、この取得額合計5240万5642円から同人の前記具体的取得分2077万0234円を控除した超過取得額3163万5408円について、代償金による清算をすべきことになる。

(5)  相手方万理は、同人が支払うべき前記代償金5122万0766円のうち、各2077万0234円を相手方八重子及び相手方好江に支払い、残余の968万0298円を相手方未来に支払うべきものとする。

(6)  申立人桃子は、同人が支払うべき前記代償金22万4766円を相手方久司に支払うべきものとする。

(7)  相手方亨は、同人が支払うべき前記代償金3163万5408円のうち、2054万5468円を相手方久司に支払い、1108万9936円を相手方未来に支払うべきものとする。

以上によれば、相手方亨は4円の利得をすることになるが、これは、やむを得ないところである。

よって、本件手続費用は各自の負担とし、主文のとおり審判する。

別紙目録<省略>

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